ねじまき鳥クロニクル 第3部

第3部 鳥刺し男編
著者:村上春樹 
ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉鳥刺し男編 (新潮文庫)
トオルのクミコを取り戻す戦い。井戸、仮縫いの仕事、ナツメグと動物園、牛河、シナモン、笠原メイとかつら工場、クミコとの通信、ボリスと間宮中尉、208号室、クミコの手紙、メイとの会話。
報われていないような満足できないような読後に感じる乾いた感覚は『ノルウェイの森』と同じでした。どれだけ自分が必死になれる相手であっても完全に理解することはできないし、相手がそれを真正面から求めているとも限らない。ねじまき鳥のクミコもノルウェイの直子も主人公が最後まで求め拘り続けるだけにふたりの間の埋められない溝が残酷に感じられます。
シリアスな展開の中、時折挟まれる笠原メイの日常の手紙が気持ちを楽にしてくれました。