true tears 第4話

第4話 「はい、ぱちぱちってして」   (脚本:岡田麿里、コンテ・演出:安藤真裕

互いに本心と違うことを言いながらすれ違う眞一郎と比呂美。乃絵が涙をあげた相手は亡くなった祖母だった。乃絵と話したことで少し気が楽になった眞一郎だったが、翌朝いきなり純(乃絵兄)に乃絵と付き合ってやって欲しいと頼まれる。
眞一郎とヒロイン3人の表情・心のあやの描写がすばらしく純粋にストーリーに引き込まれました。今回を見て特に感じたのは、乃絵にとても嫌な運命が待っていそうなこと、比呂美にこれまた嫌な背景がありそうなこと、眞一郎が鈍感じゃないこと、の三点です。引きに比呂美の笑顔が見られたのが良かった。

乃絵

乃絵が言うには、泣けなくなった理由はお婆ちゃんが亡くなる際に涙を空に持っていってしまったから、とのこと。眞一郎との会話から乃絵がお婆ちゃん大好きだったことが伝わってきますが、一番気になるのは「また泣きたくなった」というその理由。
純が乃絵の首筋あたり(ヘルメットのひも?)を見て何か気付いた様子だったり、眞一郎に付き合ってやってくれと頼んだりしているのを見ると、「乃絵が何らかの重い病気にかかっていて、かつ余命がそんなに残されていない」としか考えられません。乃絵の達観したような雰囲気やあまり他の人に懐かない性格もこれだとよく分かる。眞一郎の空想の中で出てきた天使の羽を持つ乃絵もそういうことなのかな。ヒロインとしては"恋愛"よりも"運命"という側面が強く、『AIR』の観鈴に近い感じ?
変なところで目を洗わせたり鶏のエサを食べたりと子供っぽい行動の裏に、他の人には分からない何か大切なことに気付いている雰囲気の乃絵。眞一郎のこれからの人生にとても大きな影響を与えるヒロインであることは間違いなさそう。今回のキーワードは「真心の想像力」。

比呂美

自分が嘘を重ねることで自分が一番傷ついている比呂美。そうまでして眞一郎への気持ちを抑えなければいけないのは何故?
「比呂美が眞一郎と腹違いの兄妹(知らないのは眞一郎だけ)」だというのが一番ありがちな理由で、それで比呂美が諦めようとしていることや眞一郎母の態度についてもすぐに納得できるのだけど、でもこれだと『true tears』のテーマがやたら重くなってしまうな…。互いの母親同士が嫌い合っていた程度でだったらいいのだけど。
比呂美は眞一郎から嫌われてもいいと思い込もうとしてるのだろうけど、それに反してその状況に全く耐えられなさそうな弱さがたまりません(ポキッと折れてしまいそうなところが庇護欲をそそる)。嘘をついている時の比呂美の表情や、ぎこちない空気の「行ってらっしゃい」「行ってきます」も見ていてつらい。
今回は眞一郎のおバカイベントをわざわざ写真に撮るようなお茶目さが可愛らしかった。

愛子

落ち込む眞一郎を買い物に誘う愛子の本心は元気づけ半分・下心半分といった感じ。幼なじみとして眞一郎を励ますという大義名分があるからそんなにやましさは感じてないのかも。でも「あんたはあたしの弟」「お姉ちゃん心配」だなんてわざわざ口に出してたし、そう言うことでやましさを紛らわせてたんだろうな。本当は今すぐにでも眞一郎と付き合いたくてしょうがないのかな。
愛子は眞一郎への好意が一番ストレートに伝わってくるのが女の子らしくてかわいいです。眞一郎の返事にガッツポーズしたり、眞一郎好みの服を買ったり(眞一郎は比呂美に似合いそうだから見てたっぽい?)、比呂美は乃絵の兄が好きみたいと聞いてほっとしたり、自分はちっとも忘れられないのに「自然に忘れられるときが来るから」だなんて都合いい方にアドバイスしたり。
三代吉のことも嫌いではないのだろうけど、眞一郎への想いが思った以上に強く、愛子の感情の際どさ・危うさがかなり強調された印象。

眞一郎

ありがちな鈍感主人公ではないことが比呂美・愛子への接し方で判明。
眞一郎は比呂美の雰囲気がおかしいことを何となく察知してるし、愛子の好意にもとっくに気付いてますね。1話で愛子の店に三代吉が来たときの眞一郎のあの表情は、「眞一郎は愛子の気持ちに気付いてる」けど、「眞一郎が気付いてることを愛子は気付いてない」からこそだったわけで。今回のとぼけっぷりも愛子の自分への好意を逸らすために意図的にやってるみたいでした。
眞一郎が愛子になびくことはないと思いますが(たぶん)、愛子側はきっと気持ちを抑えきれなくなるだろうし、このことを知ったら三代吉はどうするんだろう。何にせよ愛子の件についてはふたりとも男らしい毅然とした態度をとってくれることを期待。
とはいえ、鈍感でないだけでけして敏感ではないので、一番大切なところでヘマをし空回るのが眞一郎。次回、比呂美におせっかいをするのは眞一郎しかいない。比呂美が本心で望んでもいない純への橋渡しに奔走して空回りする展開かな。愛子と三代吉のときのおせっかいもそんな感じだった…?
夢に向かう眞一郎の背中を押してくれる父親は厳しくもあり優しくもありといった感じで、しっかりした親父さんのようです。